やえもん先生

最も売れた作品は「きかんしゃやえもん」だというジョークがある。私自身最初に読んだ作品は「やえもん」であった。
それのみならず、陸海空問わず、乗り物の本は多数書かれている。もちろん、戦艦長門も乗り物のうちである。

遠藤周作、開高健、吉行淳之介、北杜夫といった戦後派の新人の中で、異色だったのは、志賀直哉の影響が大きかったことと、同じ人間が存在していても、海上自衛隊と帝国海軍は別物であるというわけで、「山本五十六」「米内光政」「井上成美」のリベラル派提督三部作や、「軍艦長門の生涯」、仲間の予備士官時代の戦いを元ネタにした群像劇「暗い波濤」などの作品がある(「春の城」は後述する)。これゆえに陸軍悪玉論の阿川史観などとも揶揄されたこともあったのだが、一方では保守的だと左から責められたこともままあった。彼の場合は戦前のリベラルというところが根底にあるし、そもそも「きかんしゃやえもん」は岩波書店から出ているのだが。
それに「春の城」や黒歴史扱いしていた「魔の遺産」のように、故郷広島への思い、核に対する怒りがあったのではないか。70回目の原爆忌直前で天寿を全うされたのだが。
皮肉にも合衆国に留学させた息子の尚之が、合衆国(しかも保守派)の犬になってしまったのはなんという皮肉か。
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